20名リレー連載「極私的☆聴きどころ」前編10名まとめて掲載!
7/7(日)いずみホールで開催の
「里井宏次&ザ・タロー・シンガーズ第24回定期演奏会 ~ドーバー海峡に吹く風 伝統と革新」
公演詳細
国内でも数少ないプロフェッショナルなア・カペラ(無伴奏)混声合唱団「ザ・タロー・シンガーズ」今年の定期演奏会出演メンバー20人のリレー連載「極私的☆聴きどころ」が始まっています。
正式な曲目解説は当日配布のプログラムに掲載予定ですが、
ここでは今回の演奏曲目への「ごくごく私的な」思い出や密かな楽しみなど、
当日のステージでは絶対に聞けないメンバーそれぞれの声をお届けいたします。
20名のメンバーのリレー連載完走に温かいご声援をお願いいたします!
最新の更新は、Facebookのイベントページにて!
連載は新しいものが上に表示されています。ページをスクロールしてご覧ください。
その10 丸山晃子(ソプラノ)
♪メッセージ中に登場する今回の演奏曲は、10人目ではじめて登場の、
ヴォーン・ウィリアムズ「ミサト短調」です。
👂試聴可能なリンクはコチラ
(全曲でなく一部のこともございます)
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ヴォーン・ウィリアムズの楽曲に初めて触れたのは大学院生時代。彼作曲のオペラ「海に騎りゆく者たち」でした。
舞台はアイルランドの西の果ての島。厳しい海に囲まれて食べ物もまともに取れず日々を生きることに精一杯だったある家族は、もう既に父も兄弟も海に呑まれて喪っており、最後の男性である息子も還らぬ人となり、女性達だけ遺されるという、人生の苦しみを描いた作品です。
海を思わせるうねるようなオーケストラ演奏の中に、女声のヴォカリーゼが入ります。救われることが皆無のシナリオの最後に入るその声は、まるで一筋の希望の光、祈りのようでした。
今回のミサ曲ト短調にも同じものを感じます。人間の強さと弱さ、叫びと祈りを、いずみホールにて体験ください!
その9 林 康宏(ベース)
♪メッセージ中に登場する今回の演奏曲は…
特定の曲ではなく「すべて」ということですので、まだご紹介していない試聴可能な動画から
Nederlands Kamerkoorの演奏で
メシアン「聖なる饗宴」
https://www.youtube.com/watch?v=ALkJSQ7Vx6U
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ズバリ!全部です‼︎
プーランク、ヴォーン・ウィリアムズ、ラヴェル、ハウエルズ、メシアン。
単パートではかなり難解な音やフレーズが、全パート合わせるとドーバー海峡どころか国や言語そして時代も越えて美しい音楽となります。
The TARO Singers でこれらの素敵な音楽に浸り、お客様にも伝えることが出来るよう頑張ります!
その8 西野夏子(アルト)
♪メッセージ中に登場する今回の演奏曲は
プーランク「7つの歌」
👂試聴可能なリンクはコチラ。
(全曲でなく一部のこともございます)
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私はTARO団員の期間が人生の半分を軽く超えるという(笑)初期メンバーです(あまり細かく言うと歳がバレますね)。
TARO初期の平均年齢は20代前半。私は10代で、1番の若手でした。
今回のプログラムはその頃に歌ったものが多く、どれも懐かしく思い出深い、大好きな曲ばかりです。
プーランクの7つの歌は、私のフランス語初挑戦の曲でした。
取り掛かったのは実に22年ほど前です。フランス語の発音のあまりの難しさに若かりし私はお先真っ暗、逃げ出したいくらいの気持ちでした。
でも、兵庫県佐用町のホールを借り、3日間の合宿が行われました。星が本当に美しくて、空気が澄んでいて、その時の事は今も鮮明に覚えています。
そこでフランス語をひたすら皆で読み続け、そうするうちいつの間にか、この曲が大好きになっていました。
プーランクの深く、魅惑的な和音の移り変わりを、プーランクの個性的な世界を、美しいフランス語で味わって頂けますように。
その7 木村千晶(アルト)
♪メッセージ中に登場する今回の演奏曲は
メシアン「聖なる饗宴」
👂試聴可能なリンクはコチラ。
(全曲でなく一部のこともございます)
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「聖なる饗宴」を作曲したメシアンが、音と色の共感覚の持ち主だという事を知った時、この曲はどんな色に見えたのだろうと思った。
静寂。荘厳。
浄化されているようで、また恍惚的、官能的にさえ感じる美しい音楽が、耳だけでなく目にどう映っているのかを知りたいと思った。
残念ながら?私はその感覚を持っていないので勝手に想像するしかない。もしかすると、はっきりした色というより静かにトランス状態に入っていくように、光の中によく見ないと分からない色の粒が拡がっているのかもしれない。
五感全てで、彩られた空間を歌う事が出来たら、本当に幸せだと思う。
その6 川野貴之(テナー)
♪メッセージ中に登場する今回の演奏曲は
プーランク「7つの歌」
👂試聴可能なリンクはコチラ。
(全曲でなく一部のこともございます)
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この度、初めてザ・タロー・シンガーズの一員として歌わせていただくテノールの川野貴之です。
私が聞きどころとしてあげる曲はF.プーランクの「7つの歌」です。
この曲をはじめに取り組み出した頃、なんて難儀な曲、という印象でした。
いわゆるフランスものは個人的に言語的に苦手意識があり、これまで歌うことを自分から避けてきたからです。
しかし、全体稽古の中で、一人で練習していても見えてこなかった和声、フランス語の響きから生まれる音色など、気づくことのなかった部分が見えてきました。
全ての曲がまるでスルメのように噛めば噛むほど味が出てきて、今ではその虜になっています。
洒落たテキストとリズム、音から香り立つ独特の世界観をお客様と共有できればと思います。
その5 植田加奈子(ソプラノ)
♪メッセージ中に登場する今回の演奏曲は
メシアン「聖なる饗宴」
👂試聴可能なリンクはコチラ。
(全曲でなく一部のこともございます)
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メシアンO sacrum convivium!(聖なる饗宴)の和音にどっぷり浸っていると、時空間を揺蕩うような感覚に襲われます。
自分が上下左右、自由自在に浮遊している感じで、身体がとっても軽くなるような…
饗宴と聞いて、学生時代、美学の講義で夏休みの読書課題だったプラトンの饗宴を思い出します。
読みながら途中「エロス」という言葉の解釈(幾つも意味がある)で立ち止まり、なかなか前に進めずタイムオーバー。
結局、夏休み中に最後まで読破できませんでした。
この曲中に出てくるPassionesにも幾重に意味があり、決まった拍子がないこの曲を私の手中に納めるまでの道のりをあらわしているかのようです。
その4 以倉亜希子(アルト)
当日演奏を聴きながら、思い出し笑いしてしまいそうなメッセージです☆
ぜひご検証ください!
♪メッセージ中に登場する今回の演奏曲は
ラヴェル「3つの歌」の3曲目 Ronde
👂試聴可能なリンクはコチラ。
(全曲でなく一部のこともございます)
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ラヴェル Trois Chansons 3曲目Ronde。
始まってすぐのアルトですが、練習当初からずっと似ていると
思っているものがありました。
それは、、、某有名ファーストフードチェーンのポテトが揚がった時の音!
是非ほんまや~と共感していただきたいです。
その3 田中希美(ソプラノ)
♪メッセージ中に登場する今回の演奏曲は…特定の作品は見当たらず、今回のサブタイトル「ドーバー海峡」に寄せてのメッセージです。
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今回のお題は、ドーバー海峡。。。イギリスとフランスの国境の海峡。
あるバラエティ番組で、ドーバー海峡をお笑い芸人数人で17時間かけリレーして泳ぎきる企画で、泳ぎの苦手な仲間を励まし補い見事に泳ぎ切り感動した、と言うのが私のドーバー海峡の認識(笑)
今回のプログラムのどの曲もソプラノの私には、メロディーラインだけ歌い込んでも見えてこない、更にピアノで全パート鳴らしても見えてこない、声が合わさった時に聞こえる新たな響きに、心の震えを感じます。
タローならではのこの響きを、聞いてくださる皆様にも感じていただきたい!私もドーバー海峡をタローの仲間と泳ぎ繋ぎたい気持ちです。
その2 橋上純二(テナー)
♪メッセージ中に登場する今回の演奏曲は
プーランク「7つの歌」
👂試聴可能なリンク
(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)
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私にとって、F.プーランクの「7つの歌」は、タローでは2回目の演奏になりますが、最初にプーランクに出会ったのは、とっても可愛い若かりし時、当時はまっていた男声合唱曲の「アッシジの聖フランチェスコの4つの小さな祈り」でした。
繊細でオシャレな曲想に、生まれて初めて食べたフランス料理(私は北海道の田舎生まれでトウキビと男爵イモバターがこの世で一番デリシャスと思ってましたから)の様で、始めは何のこっちゃ意味不明でしたが、次第にその美味しさが判るようになりました。よかった!
タローで混声合唱のプーランクを味わってからは、新鮮でその優雅さに心ときめきます。
(蒼井優と結婚した山ちゃんの気持ちのようです。ハイ!)
その1 廣澤敦子(アルト/コンサートミストレス)
♪メッセージ中に登場する今回の演奏曲は
H.ハウエルズ/地よ慈しみもてこの人を納めたまえ
👂試聴可能なリンク
(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)
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Take him,earth,for cherishing (地よ慈しみもてこの人を納めたまえ)
亡くなった人の魂の平安を祈る曲です。
ケネディ大統領の一周忌のためにイギリスの作曲家、ハウエルズによって作曲されました。歌詞は現代の英語ですが、元の詩は非常に古いもので4世紀にラテン語で書かれたものです。
この楽譜を見ると絵を見ているように感じます。風が吹くと詩にあれば楽譜の中に風が舞い、這う蛇、香油のしたたり、それらが全部音符となって楽譜に描かれています。そしてその描写的な音が自分のパートにあたると嬉しいものです(笑)。
私がTAROに加入した2007年の東京定期演奏会での幕開けの曲がこれでした。
その演奏会の前々日、高校で2年間担任していただいた先生が交通事故でお亡くなりになりました。演奏会が始まる時間がお葬式の始まる時間でした。泣いてしまわないように必死で心を抑えながら歌ったのを覚えています。
今回もきっと、その時のことを思い出しながら歌うのだと思います。