9月23日に迫った、ア・カペラ混声室内合唱団ザ・タロー・シンガーズ第29回目の定期演奏会「地には平和を」へ向けコンサートマスター(アルト)廣澤敦子による作品へのつれづれ連載。
2回目は今回のメイン曲でもあるシェーンベルク『地には平和を』について。
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9月23日(月・祝)住友生命いずみホール
9月23日(月・祝)住友生命いずみホール
「地には平和を」 アルノルド・シェーンベルク作曲
Friede auf Erden A.Schönberg
『今回の定期演奏会のタイトルにもなっている曲です。
最近は合唱団の技術、レベルも上がっているのでアカペラで演奏されることも多くなっています。タローももちろんアカペラです。
この曲を語る時、こんな風に「難曲です」ということばかりにスポットが当たりがちに思います。でもそういうふうに言ったり、そういう耳で聞いたりするのってもったいないと思うんですよね。
詩はスイスの詩人であり歴史小説家、マイヤーの作品。
要約しますと(番号は私が整理のためにつけています。)
- 羊飼いが天使の言葉を御母と御子に伝えに行った時、天上では天使たちが歌った。「平和を、地には平和を!」
- 天使がそう忠告してから、どれだけ血なまぐさい戦争が起こったことだろう。そして何度、聖夜に死者の魂が切実に歌ったことか。
「平和を、地には平和を!」 - だが恥ずべき人殺しの行為に弱いものがいつまでも犠牲になるのではない。正義のような力が働き、この地上に平和を求める王国が築かれるのだ。
- その王国は徐々に形をなし、危険のない武器を作り出す。そしてある王の血脈が力強い子らと共に花開く。
彼らの輝かしい喇叭は鳴り響くだろう。
「平和を 地には平和を!」と
非常にキリスト教的な内容ではありますが、これを今世界で起こっている戦争を思わずに歌う、あるいは聴くことができる人がいるでしょうか。
でも今、この時代だから歌わなきゃ、って、そんな風には思いません。
平和な世の中でこそ歌いたい、いつもそう思うのです。
平和な世の中でこそ歌いたい、いつもそう思うのです。
つづく。』(廣澤敦子)
9月23日(月・祝)14:00開演 住友生命いずみホール
里井宏次&The TARO Singers
第29回定期演奏会 「地には平和を」