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  • 11/13公演プログラム序文
  • 上杉春雄:~脳と身体、心と感動~

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  • 2015.11.2 マネジメント

「上杉春雄ピアノリサイタル ”平均律+”vol.2」
~動きの間に色たちのぼる。音が動けば身体も踊る。

11月13日(金)兵庫県立芸術文化センター 神戸女学院 小ホールでのコンサートまで、あと2週間となりました。当日の配布プログラムに上杉春雄が寄せた序文を一足先にWeb上で特別公開いたします。
音楽を聴いたり、美しいものに触れた時の人間の「脳」「身体」「心」のつながりについて書かれています。当日ご来場のみなさまへのメッセージもございます。ぜひお読みください。

上杉春雄によるラヴェルの曲目解説「鐘の谷」と晩年の病もあわせてどうぞ!

バッハ「平均律クラヴィーア曲集」の当日演奏曲の解説は当ページ下部に

上杉春雄ピアノリサイタル ”平均律+”vol.2

公演詳細はこちら

序文

音を聴いた時、物を見た時、脳の神経細胞は“活動”します。
その結果、心が動いて“感動”が生まれます。
人は感動したとき、それを言葉にして話したり、手足を大きく動かしたり、あるいは表情には出さなくとも心臓がドキドキしたりetc.
ともかく、心の動きが、身体の動きを生み出します。

もちろん、実際に身体が動く前には、脳の中でこの“運動”のイメージが作られているのです。

音楽が“運動”というものをわれわれに生み出させるのはこのようなプロセスなのです。

ところで“動き”というのは、状態の変化を指すという意味で“うつろい“と言い換えることもできるかと思います。
「鐘の音がゴーンと鳴って、消えゆくまで刻一刻と変化する、そのうつろいの中に色が顕れる」
とは作曲家の武満徹(1930-1996)の言葉ですが、それを借用すれば「心とは、脳の働きのうつろいの中に顕れた色」とでもいえるでしょうか。
昨年の第一回「平均律+」コンサートでは、“色”ということに焦点をあてて後半のプログラムを組み合わせました。
二回目となる今年は、音と心と色をつなぐ“動き”をイメージしてみました。
きょう客席にいらっしゃる皆さんにたくさんの “心の動き”が生まれることを願っております。(上杉春雄)

バッハ「平均律クラヴィーア曲集 第一巻」の解説から(上杉春雄)

第12曲 ヘ短調

全24曲の折り返しの重要な曲です。流れるような前奏曲の後、半音階だらけのテーマを持つフーガとなります(ちなみに半音階chromaticのchromaとは、ギリシア語で“色”を表します)。下降半音は、少し前に作曲された12番のカンタータでも同じヘ短調で“泣き、嘆き、案じ、怯え”という言葉が当てはめられており、バッハのヘ短調に対するイメージが伺えます。しかしテーマとセットの対旋律は、力強く上昇しており、我々の悩みに正面から向き合って、厳しく、かつ力強く支えてくれるような音楽だと思います。

第13曲 嬰ヘ長調

明るく浮世離れした美しさの嬰へ長調。前奏曲もフーガもそんな曲です。嬰ヘ長調は黒鍵が多く、バッハ以前にはほとんど使われませんでした。

第14曲 嬰ヘ短調

鋭い痛みを持つ調です。フーガはとても胸をうつもので、必死に登ろうとするテーマと、涙がはらはらと落ちてくるようなモチーフの対比がとても美しいと思います。

(C)上杉春雄/禁無断転載

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