当オフィスマネジメント公演「廣澤敦子メゾソプラノリサイタル 歌物語~第十五巻~遊びをせんとや生まれけむ」公演が終了しました(ピアノ 青谷理子/2021年2月28日 あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール/大阪市助成公演)。
リート(歌曲)を演奏活動の中心に据え、語りと歌を独自に構成したユニークなで定評のあるメゾ・ソプラノ廣澤敦子が、年に一度開催するリサイタルの15回目として開催、前回は2020年2月24日、新型コロナウイルス感染症において1回目の緊急事態宣言が発出される2日前の緊張感いっぱいの時期でした。前回のプログラムはこちら。
今回は、2度目の緊急事態宣言のため、感染防止策としてチケットレスの導入に踏み切りました。また、客席を50%としたことから、早くにチケットが完売し、ご来場をお断りせざるを得ないお客様がいらっしゃったことは、大変申し訳ございませんでした。
それぞれのご事情のもと、ご来場をあきらめられたお客様もいらっしゃり、次回は心おきなく満席のお客様にご来場頂けることを心より願っております。
「コロナ禍」以前から決めていたという「遊び」をテーマとしたプログラムは次の通りです(画像は配布プログラム)。
新実徳英 梁塵秘抄(りょうじんひしょう)による歌曲
「遊びをせんとや生まれけむ」から☆
- 遊びをせんとや生まれけむ
- 楠葉の御牧の土器作り
- 我を頼めて来ぬ男
- 舞へ舞へ蝸牛
- 頭に遊ぶは頭虱
シューマン
- 怠けものの天国 子供のための歌のアルバム より
- ジプシーの歌1 子供のための歌のアルバム より
- ジプシーの歌2 子供のための歌のアルバム より
- 春だ!
ヴォルフ
- エオスル・ハープに寄せて
- 風の歌
ファリャ 七つのスペイン民謡
- ムーア人の織物
- ムルシア地方のセギディーリャ
- アストゥーリアス地方の歌
- ホタ
- ナナ(子守歌)
- 歌
- ポーロ
シャイアー
クロスワードパズル☆
武満徹
- うたうだけ
- 翼
- 死んだ男の残したものは
- 明日ハ晴レカナ曇リカナ
高田三郎 ひとりの対話
- いのち
- 縄
- 鏡
- 蝋燭
- 遠くの空で
- くちなし
アンコール
- ザ・サーカスバンド(アイヴズ)☆
- サーカス(清水 脩 作曲 中原中也 作詩)
- シテテン~《中世風の三つの歌》(増本伎共子 作曲)
- 子守唄(中田喜直 作曲 深尾須磨子 作詩)
☆=字幕つき
コロナ禍の当初に「不要不急」という見た目にも強いインパクトを持つ四字熟語が文化芸術の活動について使われたことを端緒に、この一年は、音楽ー文化や芸術とさまざまな角度で関わる全ての人にとり、自身と音楽の関係や「音楽とはなにか」という答えのない問いを、改めて突き付けられてきた時間ではなかったでしょうか。
配布プログラムに寄せた廣澤の文章によれば、この一年、「遊び」というこのテーマに励まされ続けてきたそうです。
サブタイトル「遊びをせんとや生まれけむ」は平安末期の流行歌である「今様」を後白河法皇が編纂した梁塵秘抄(りょうじんんひしょう)の中の1曲で、ここで歌われるのは、わらべ歌、恋の歌、皮肉、笑いなど、当時の人々の暮らしです。
”第三部”という名のアンコール4曲の1曲目は「ザ・サーカスバンド」(チャールズ・アイヴズ作詞作曲)、2曲目は「サーカス」(清水 脩 作曲 中原中也 作詩)。
渾身の前後半の後にこの2曲!
アイブズは「字幕付き」、に加え、表現の振り幅も大きな今回のプログラムの素晴らしい共演者、ピアニスト青谷理子さんも外連味たっぷりに見事なご発声!
アメリカと日本の作曲家がサーカス題材としたこの2曲のアンコールを舞台袖で聴きながら「芸術」と「芸能」の境界線がゆらゆらと曖昧にみえてきました。
道化師(ピエロ)や動物が血のにじむ厳しい鍛錬で身に着けた芸を、愉し気に、おどけ、そして間一髪のスリリングな様子で演じるのを人々が取り囲んで見て囃す”興行”であるサーカス。
「皆さんにとって『遊び』とはなんですか?」
(廣澤敦子による配布プログラムの文章から)
2021年のリサイタルが終わった直後ですが、次回、来年のリサイタルも既に決定しております。
次回公演情報
廣澤敦子メゾソプラノリサイタル
歌物語第十六巻
「詩人の恋」
ピアノ 内藤晃
2022年3月13日(日)14:00(予定)
あいおいニッセイ同和損保 ザ フェニックスホール
シューマン『詩人の恋』