「やはりベートーヴェンを避けては通れない」(稲垣聡)
新作初演や近現代作品のスペシャリストの印象も強いピアニスト、アンサンブル・ノマドのメンバーでもある稲垣聡が音楽生活25周年を機にベートーヴェンの最後の3つのソナタを軸とした3ヵ年プロジェクト『ルートヴィヒの遺言』を始動!
第1回は、互いに20代後半の頃パリで出会い30年来の交流がある権代敦彦氏の作品から3作品とベートーヴェン作品109のソナタを対峙させた300年の時代をめぐるプログラム。
第一回公演を前に、権代敦彦氏自身による曲目解説を氏のご厚意により事前に要約でご紹介できることとなりました。
『32曲以上のピアノソナタを書いたベートーヴェンには到底及ばないが・・・、』
で始まる権代氏の解説によると、30余年に渡る作曲活動の中で、30曲近いピアノ曲をコンスタントに書いてきたが「十字架の道」の追随、死、、、という氏の創作のテーマにとって
『稲垣聡さんが《祈り》という名のリサイタルで、今回選曲してくれた3曲いずれも、この道の大事なマイルストーンだ。』
といいます。
その3曲は
●R.I.P.Ⅲ~弔鐘~ (1999)
R.I.P.Ⅲ~Glas ~ (1999)
●狂ったように、狂ったように、私も光を求めるop.61 (2000) Crazily,Crazily,I too aspire the Light, op.61(2000)
●ピアノのための“霊”op.170 (2019)
“Mi”for Piano op.170 (2019)
(以下、当日配布プログラムの解説より要約)
『R.I.P. III~弔鐘~』
『出来立ての新しい墓の上に降り注ぐ、悲しみと慈しみを湛えた鐘の音。
~(中略)7-6-5-4-3-2-1と終末を予感させる、圧縮の音楽フォルムが、剝き出しのかたちで聴こえる。』
『狂ったように、狂ったように、私も光を求める』
韓国の抵抗のカトリック詩人で、民主化運動の先鋒だった金芝河に触発され作曲された。
(稲垣いわく、原詩にあたる前、既に楽譜から読み取るメッセージの強さに圧倒されていると話していた作品)
『ピアノのための“霊”op.170 (2019) 』
”霊”と書いて”Mi”と読み、”ミ”の音を中心とした、2018年に亡くなった作曲の恩師、末吉保雄先生に捧げられた作品。
『師から学んだことが多すぎ、それが未整理のまま詰め込まれた曲ではあるが、身を超えて霊へと届かんことを、ミの音に託し・・・祈る。』
音楽生活25周年を機に満を持して開始する稲垣聡の3ヵ年プロジェクトにご期待ください!チケットは、大阪・東京公演とも好評発売中!