2014年8月23日(土)~24日(日)の2日間に渡り開催した「アンサンブル・ベガ 真夏の勉強会」。レポート第二弾は、ヴァイオリン辻井淳、ホルン池田重一のレッスンです。
辻井淳(ヴァイオリン)のレッスン
日頃の演奏姿から「ヴァイオリン界のイチロー」(アキラさん命名)と称される辻井淳。
一体どのようなレッスンを行うのか、興味は尽きません。
受講生は、音大在学中のお二人。
コンチェルトに小品の難曲2曲と、聴講も楽しみな曲で受講されました。
まずは、ブルッフ作曲「ヴァイオリン協奏曲 第一番」から。
辻井のレッスンも、やはり「論理的」です。
ヴァイオリンは、右手と左手の役目がまったく異なる楽器です。
右手は弓を持って動かし、左手は指板の上の弦を押さえて音程を定めます。
どのように、どちらの方向から、どのぐらいの力を加えて楽器をあやつればよいのか、
一音一音について、シャワーのように辻井の言葉が降り注いでおりました。
まるでお医者さんのようです。
思うように弾くことが出来ない箇所には明確な理由があり、克服するためには何が必要か。
弓を弦にあてる角度、動かす速さ、加える強さなど、腕や手首、関節、指のそれぞれをどうすればよいか、明快な言葉が飛んでおりました。曖昧な表現は一切ありません。
(もちろん自身も鮮やかに演奏しながら。辻井のブルッフも本番で聴いてみたいですね♪)
これだけの情報が降り注ぐ辻井のレッスンは、聴講するだけでも「お腹いっぱい」です。
心配になり普段から辻井のレッスンを受けておられるという聴講の方に伺ってみたところ
やはりレッスンの後は
「いつも放心状態です」
とのこと。やや安心いたしました…。
普段、超絶技巧も顔色一つ変えず美音で弾く辻井ですが、日頃の鍛錬を垣間見たように感じたのが、
下の場面です。
パガニーニの作品でフラジオレット(ハーモニクス)が連続する難所に苦心する受講生の方に向けて、
「音楽家は記憶力が重要。一度出来たなら、どのようにして出来たのか記憶する。
一回で覚える。次からは探さない。迷わない。」
と。
うー、仰る通りです…。
お二人の受講生の方の益々のご研鑽をお祈りしています!
池田重一(ホルン)のレッスン
演奏活動はもちろん、勤務先の大阪音楽大学でのレッスン、中学、高校の吹奏楽の指導でも超多忙な池田重一。夏は「コンクールシーズン」とのことで、真っ黒に日焼けして現れました。
受講生は、アマチュア社会人の方です。ご自身の演奏をさらに向上させたいとお申込みくださいました。
「ホルン」は金管楽器の中で一番難しい楽器とギネスで認定されています。
それは、微妙な唇のコントロールで音程を定めなければならず、
少しでも外れると違う音がなってしまうからです。
・・・金管楽器は概ねみな同じ仕組みですが、その「ピンポイント」の度合いが、ホルンは非常に狭いのです・・・。
正確な音程で、なおかつ柔らかく美しい音で吹く、これはホルンを吹く全ての方にとって、永遠の目標のようです。
人それぞれに違う唇や口の中の環境で、自分の最良の音を探す作業は
池田いわく
「宝探し」!
といっても、楽器を吹く口の中の様子は外から見えません。
しかし、レッスンでは生徒さんの音を聴いて判断し、改善していくと言います。
(これはいったい!)
(池田には透視能力が!?)
はたして、受講生の方が吹かれると、
「いま、ココとココの2点を意識して吹かれてませんか?」
と唇のまわりを押さえます。
「そうではなく、ココ、ココ、ココで3点を意識して吹いてみてください」
(えーっ、これで音が変わる!)
確かに、音が豊かになりました!
池田の透視術!?はまだまだ続きます。
「舌の位置が上についていませんか」
「舌の両側に力が入っていませんか」
(はぁ~、そんなことまで見えるとは!)
受講生の方の音は、みるみる美しく変化します。
レッスン後に「自分の音色が劇的に変わった」との感想を頂きました。
池田も「お医者さん」のようでした。
そして管楽器で大切なのは、やはりお腹。息!
そう、丹田!でした。
受講生の方のさらなるホルンライフの充実をお祈りしています!
以上で2日間に渡る公開レッスンのレポートは終了です。
次回は、聴講生の方の感想をご紹介いたします!