当オフィス制作協力公演「日本-オーストリア友好150周年記/宝塚市・ウィーン市第9区姉妹都市提携25周年記念<ヨーゼフ・ラスカ 音の架け橋>」公演が終了しました。
(11月7日、宝塚ベガ・ホール)
1920-30年代に宝塚歌劇のオーケストラを指揮したオーストリアの音楽家ヨーゼフ・ラスカを中心に同時代に両国を行き来した音楽家、幸田延にその先生ディットリッヒ、フックスらの作品を集めたユニークなプログラムは、ウィーンに長く拠点をおき活動する旧知のメゾソプラノ日野妙果さん、ヴァイオリン前田朋子さんの発案によるものでした。
全プログラムはこちら
国内では東京(王子ホール)、名古屋(宗次ホール)と宝塚の3か所で、ウィーンではエゴン・シーレのコレクションで有名なレオポルド美術館ほかプライベートコンサートでも同じプログラムによる公演が行われ、現地でも大好評だったそうです。
宝塚公演は、ブルックナー作品の日本国内での受容をする過程で、彼の作品を日本初演していたヨーゼフ・ラスカを知り研究を深め、ラスカの評伝を日本語、ドイツ語で発刊された根岸一美・大阪大学名誉教授によるお話を交えた構成となりました。
この日演奏した音楽家たちの交流を、公演タイトル「音の架け橋」にちなみ「関東1号橋」「関東2号橋」「関西橋」と名付けてのお話は、西洋音楽黎明期の日本で、日墺両国を駆け抜けた音楽家の人生に思いをはせ、鑑賞をさらに深める貴重なものでした。
ラスカが万葉集や俳句にインスピレーションを受け作曲した歌曲作品「万葉集歌曲」「7つの俳句~フルート、ソプラノ、ピアノのための~」(今回はヴァイオリン版による演奏)は、日本語からドイツ語に訳された詩に、ラスカが曲をつけたものです。
日本的な旋律と、独自のダークな色合いでありながら透明感のあるハーモニーで厚みも兼ね備えたピアノパートからなる作風には、はじめてラスカ作品を聴く音楽関係者の皆さんからも称賛の声が多く寄せられました。国内外で、この宝塚ゆかりの作曲家ラスカの作品がもっと演奏されるようになればとの思いが芽生えました。
(当日演奏の音源を公開準備中です!)
また、1895年、初めての政府派遣留学生としてウィーンへ渡った幸田延(のぶ)のヴァイオリン・ソナタ第1番は、近年少しずつ知られるようになりましたが、日本人がこの時代に西洋音楽の様式を見事に吸収し、自身の音楽を生き生きと作品で表現していたことに驚きと感銘を受けたとのお声も多くいただきました。
宝塚公演の締めくくりは「ウィーンと宝塚をむすぶ歌」と題した2曲。
♪すみれの花咲く頃(宝塚歌劇の愛唱歌)そして♪ウィーン、わが夢のまち。
アンコールに ♪さくらさくら
日本とオーストリア両国の更なる友情を願い、お開きとなりました。
皆さまもウィーンやオーストリアへお越しの折は、ぜひコンサートやオペラにもお出かけください。
今回出演の前田朋子さん、日野妙果さん、ヨハネス・ヴィルヘルムさんは、ウィーンやオーストリア内外で広く演奏活動を展開していますので、もしご旅行にお出かけの際は、ぜひ現地でも演奏をお聴きください!
最後になりましたが、企画協力・監修として多大なるご尽力を頂きました音楽学者のお三方、根岸一美、佐野旭司、前田昭雄の皆様、共同主催の宝塚市文化財団の皆様ほかご協力、ご後援を頂きました皆様に深く感謝申し上げます。
前田朋子オフィシャルFacebookページ
日野妙果オフィシャルFacebookページ
書籍「ヨーゼフ・ラスカと宝塚交響楽団」(著・根岸一美/大阪大学出版会)
ドイツ語版「Joseph Laska 1886-1964: Ein Osterreichischer Komponist Und Dirigent in Japan