6月2日(木)兵庫県立芸術文化センター 神戸女学院 小ホール
「篠原美幸ソプラノリサイタル~ここを わすれないで」
公演詳細
日本歌曲で高い評価を得るソプラノ、篠原美幸のリサイタル。
昨年10月は、大阪いずみホールで「そら澄みて うた満ちるとき」と題してリサイタルを行いました。レポートはこちら
今回は「ここを わすれないで」と題して、イタリアの作曲家で「ローマの松」など色彩あふれるオーケストラ曲が特に有名なレスピーギが、トスカーナ地方の民謡を素材とした歌曲に、後半は日本歌曲を歌います。
まずは、前半のメインー
レスピーギ「トスカーナ地方の4つの恋歌 Quatro rispetti toscani 」について
この作品は、イタリア北部フィレンツェを中心としたトスカーナ地方の民謡に題材をとった歌曲集です。
無料のログインで、各トラックの冒頭30秒のみ再生できる「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」での試聴はこちら。
トスカーナ地方は、農業地帯でも有名で、ミラノやローマのような大都会ではなく、イメージとしては「豊かな農村」でしょうか。
丘陵地帯に広がるブドウ畑は「イタリアの田舎生活」にあこがれる人からの人気も高いようです。
4つの歌の内容を、歌詞とピアノパートから、覗いてみます
当日のプログラムには、真摯な解説を演奏者の篠原美幸が自ら記しております。
ここでは、プログラム制作時のやりとりでスタッフが得た”にわか”知識と主観による「聴きどころ」をお届けいたします。
1. あなたが生まれたとき
2. わが子を見においでください
この2曲は
「うちの子、かわいいてかわいいて、しゃあないねん。もう最高やねん」
という歌です。(#大阪弁)
1は「あなたが誕生したとき、花も鳥も太陽も、全世界があなたの誕生を祝福してくれたのよ」つまり「うちの子は世界の中心にいる」と高らかに歌います。
2は「うちの子、天使みたいにかわいいねん、ほんまやで。見に来てな」です。
といっても、早口でまくしたてるのではありません。
夢見るようなテンポで、ピアノは、ゆりかごが優しく揺れるさまを描くかのようです。
3 . 遥か遠い彼方からやって来る
第2曲から一転して、ころころ向きを変えるきまぐれな風を思わせるピアノにのって、揺れ動く恋心を歌います。(#この曲のピアノは、風や水などの自然を巧みに表現したドビュッシーを思わせます)
4. 雌鶏たちは麦打ち場で引っ掻く
は、この曲集一番の緊張感。
トスカーナの農村で繰り広げられる男女の恋模様を描きます。
場所は雌鶏のいる麦打ち場。
作業する農婦たちの内の一人に想いを寄せる男。
内気な男は、彼女に想いを告げる勇気が出せません。
そんな彼のために、彼女はわざとゆっくり作業をして、その告白を待っているのですが…。
優柔不断な男に痺れを切らして、ついにそこから歩き去った女は歌います。
「私を見てばかりいないで !神様はあなたにお話をする口もくださったのだから !」
(#この曲、言葉がわからずとも、上のストーリーのどのあたりか、大体わかるのが、やはり面白いところです。この男女のやりとりを大阪弁にすると、とても面白そうですが、なんとか思いとどまりました…)